この記事では、ジブリ映画『ゲド戦記』に登場する主要キャラクターを紹介します。
『ゲド戦記』は、アーシュラ・K・ル=グウィンが手がけた全6巻のファンタジー小説を原作としています。映画では、そのうち第3巻を中心に、宮崎駿の絵本『シュナの旅』の要素も取り入れて描かれています。
ただし映画版は原作と大きく異なり、作者ル=グウィン自身が「これは私の作品ではない、吾郎の作品だ」と批判したことでも知られています。
それでも、『ゲド戦記』の世界観には不思議な魅力があり、知れば知るほど奥深さを感じられます。この記事を読み終えたら、ぜひ改めて作品を見返してみてください。
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アレン

ジブリ映画『ゲド戦記』の主人公アレン(本名:レバンネン)は、エンラッド王国の王子で17歳。父は国民から尊敬される賢王で、母は次代の王にふさわしい人物に育てようと厳しく接してきました。
その結果、アレンは重圧や孤独に苦しみ、心の弱さを抱えるようになります。そして彼は「影」と呼ばれる存在と切り離されてしまいます。影は、人が持つ寂しさ・不安・恐怖の象徴であり、原作第1巻『影との戦い』の重要テーマでもあります。
影を失い心の均衡を崩したアレンは、衝動的に父を殺めてしまい、逃亡生活に入ります。旅の途中で大賢人ハイタカと出会い、世界の均衡を取り戻すための冒険へ。
そして少女テルーとの出会いは、彼に命の大切さや儚さを気づかせます。
最終的に、アレンは均衡を乱す存在「クモ」を打ち破り、贖罪のために帰国する決意を固めます。
テルー

ゲド戦記のヒロインとして登場する「テルー」は、虐待を受け両親に捨てられた過去を持つ少女です。現在は、捨てられた所を助けてくれた「テナー」と共に生活しています。
「生命を大切にしない奴なんか大嫌いだ!」
という印象的なセリフで知られ、命の尊さを何よりも重視しています。そのため、生命を大切にしていなかったアレンを嫌っていました。そのため、当初は命を粗末にしていたアレンを嫌っていました。
しかし、物語を通してアレンと心を通わせ、共に「クモ」に立ち向かいます。
クライマックスでは、クモに殺されてしまいますが、テルーは真の姿である龍へと変貌し、クモを倒します。映画では龍になる理由が説明されていませんが、原作や「かつて人と龍は一つだった」という言葉からテルーが人間の姿で生きることを選んだ龍の子孫であることが分かります。
このことから、死の境地に立たされた瞬間に龍としての力が覚醒したと解釈できます。
テルーの唄
テルーが「テルーの唄」を歌っているシーンはとても綺麗で感動しますが、ここでもひとつ都市伝説というか裏設定のようなものがあります。
実はこの「テルーの唄」は宮崎吾郎が作曲したものとして公開されましたが、詩人萩原朔太郎の「こころ」という詩にとても似ているのです。
実際、この問題が明らかになった後、宮崎吾郎がこの詩から着想を得たことを認めており、公式に謝罪もしています。
参考までにテルーの唄を載せておきます。
<テルーの唄>
夕闇迫る雲の上 いつも一羽で飛んでいる
鷹はきっと悲しかろう 音も途絶えた風の中
空を掴んだその翼 休めることはできなくて
心を何にたとえよう 鷹のようなこの心
心を何にたとえよう 空を舞うような悲しさを
雨のそぼ降る岩陰に いつも小さく咲いている
花はきっと切なかろう 色も霞んだ雨の中
薄桃色の花びらを 愛でてくれる手もなくて
心を何にたとえよう 花のようなこの心
心を何にたとえよう 雨に打たれる切なさを
人影たえた野の道を 私と共に歩んでる
あなたもきっと寂しかろう
虫のささやく草はらを ともに道行く人だけど
絶えて物言うこともなく
心を何にたとえよう一人道行くこの心
心を何にたとえよう一人ぼっちの寂しさを
ハイタカ

ゲド戦記に登場する大賢人の魔法使いがハイタカです。本名は「ゲド」で、年齢は不詳です。
長い年月を生きてきた人物であり、物語において重要な役割を担っています。
映画では、国を捨て逃亡していたアレンと出会い、共に世界の均衡を乱す存在「クモ」に立ち向かいます。
ゲド(ハイタカ)というキャラクターをより理解するには、原作であるアーシュラ・K・ル=グウィンの小説を読むことがおすすめです。
原作を読んでから映画を観ると、キャラクターや物語の深みをより強く感じられると思います。
テナー

テナーは、魔法使いハイタカ(ゲド)の良き理解者であり、ヒロイン・テルーを助け育てている女性です。
原作小説では、ハイタカと結婚し二人の子どもを育てる母親として描かれていますが、映画版ではその設定が省かれています。
映画ではクモに捕らえられ、地下牢に閉じ込められたとき「墓所が懐かしい」と語り、原作における彼女の過去――地下神殿で育てられた経験を連想させる描写があります。
原作小説では、大巫女として地下神殿で育ったテナーを、ゲドが救い出すという物語が描かれています。
映画と原作を併せて知ることで、テナーという人物像をより深く理解できると思います。
クモ

クモはこの物語で起きている世界の均衡が崩れている原因を作っている人物として描かれています。
外見は女性のように見えますが、実際には男性です。
彼は死ぬことに恐怖を持っており、生きながらえるために禁忌とされている死者蘇生の魔法を使っています。その結果、世界の秩序が乱れ、均衡が壊れていくのです。
映画では、ハイタカが「黄泉の国以来だな」と言っていますが、これは以前にハイタカが禁忌の魔法を使うクモを改心させるために、苦痛を与え改心させるためにいった場所のことです。
最終的に、クモの行動はハイタカへの復讐に突き動かされたものであり、それが破滅の道へと繋がりました。
『ゲド戦記』をより深く理解するには、原作小説を読むことでクモの背景や世界観を立体的に知ることができます。
ウサギ

クモの手下。人狩りを生業としており、テルー襲撃など物語の序盤においてアレンたちにとっての直接的な敵対者として登場しています。
かつては魔法を扱っていたという説があるものの、そのような明確な描写は描かれていません。
声優はあの有名な香川照之さんです。
まとめ
『ゲド戦記』のキャラクターたちは、それぞれに深い背景やテーマを抱えており、物語をより奥深いものにしています。映画だけでなく原作小説に触れることで、キャラクターの行動や言葉の意味がさらに理解でき、作品の楽しみ方が広がります。
この記事がきっかけとなり、『ゲド戦記』の世界をもう一度味わってみたいと思っていただけたら嬉しいです。
また、このブログでは他にもジブリ作品に関する記事をたくさん紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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